『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

紅葉の三都を巡る~長岡京・平安京・大津京⑧

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時間の感覚もなくなった。

気がつけば夜が明けかかっていた。

相変わらず

眠い→寝たい→足が痛い→棄権したい

は続いている。

加えてスポーツドリンクの飲み過ぎか

胃がムカムカしていて

吐きそうになる。

モチベーションに連動して

体調も下がってきた。

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写真のない区間は記憶も乏しい

自分の意志ではなく

なにかに取り憑かれたかのように

歩いた。

残り3kmの指定コンビニで

地面にへたり込んだ。

抜きつぬかれつの老夫に

「あと少しだ。出発しないかね」

と声をかけられた。

お連れの女性は奥様か

まさに二人三脚の御夫婦だ。

紛れもなく私よりは年配者で

ペースを崩すことなく歩いている。

二人の後ろ姿が神々しかった。
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ウォーキングコースの設計者は

やはり鬼だった。

あと3kmで琵琶湖なのだ。

3kmなんて毎晩のルーティンウォークの

半分以下ではないか。

しかし・・なんと!

最後が・・・登り坂

なんですとー!!

しかも鬼坂👹

途中外国人の体験かなんかのツアーに遭遇

ガイドが

「登る人がいるので道を空けてください」

日本語だろうと

還暦間近の男が息を切らして背中を丸め

悲壮感漂う顔で登ってきたら

道を空けるだろう。

しかし長身のブロンズヘアーの女性は

視界に入っていないのか

日本人蔑視なのか

道を譲ることはなかった。

「Open the way!」と叫ぼうとしたが

国際問題に発展するとヤバいなと思い

諦めてこちらが道を譲った。

そして下り・・

最も足に負担がかかる。割りと急な坂。

鬼だ。コース設計をしながら

ベテラン勢が喜ぶ姿を想像して

楽しんでいるんだろうな。

山を下り大津の街に入ってから

すぐにゴールだろうという幻想は捨てて

最後の力を振り絞り

渾身の力歩だ!!

あと少しだ!

もう少しだ!

“風呂とビールとベッドに倒れ込むまで”

琵琶湖の写真撮影なんかには目もくれず

ひたすらゴールを目指した。

ゴールは

大津市なぎさ公園おまつり広場

が?!しかし?!

コース設計者は心理学の天才だ。

例えばゴールは京都御所です。

なんて言われると

御所の入口近くか或いは視界の届く範囲に

ゴールがあると思うのが普通かと思う。

いやいや

御所でいうとほぼ出口近くまで

歩かなければいけないという

最後まで

(素人の)期待を裏切り

(玄人の)期待に応え続けたのである。
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やっとこさゴールだ。

いつものように感慨というよりは

もう何もしたくない。

そのまま倒れ込みたかったが

2時にホテルにチェックインして

風呂→ビール→ベッドに倒れ込む

先程までの

眠い→寝たい→足が痛い→棄権したい

という思考から既に入れ替わっていた。

人間とは勝手なものである。

感慨に浸ることもなく

急ぎ荷物を整えタクシーを探した。

もう歩けない。頼むタクシーよ来てくれ。

1000円くらいならチップ払うから。

願いは虚しく

過ぎ去る時間に

いかん、いかん!14時チェックインに遅れる!

大津駅までの約1kmを重いリュックを背負い

歩くことにした。泣きそうである。