『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

中山道・木曽路ウルトラウォーキング番外編⑥

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ホームから見る線路に新幹線はいない。

のぞみは絶たれた。

感傷に浸っている暇はない。

次の博多行新幹線まで15分足らずだ。

今来た階段を引き返しながら

検索をかけた。

ローカル線乗り継ぎには、何とか間に合う。

後は切符の振替だ。

改札窓口の女性に聞いたが埒が明かない

切符売り場に行けと。

切符売り場に走ると、

どの窓口も長蛇の列ではないか。

またまた引き返し、先程の女性に

「もう間に合わないから行くね」

と、再び改札をくぐった。

「(新幹線の)中で交渉してください」

先にそれを言えよ。と思いながら

またもや階段を駆け上った。

出発には間に合う時間だが

もし指定席を振り返られない場合を想定すると

自由席に並ぶ必要がある。

自由席は遠いのである。

羽田空港然り、便数の少ないローカル線は

いい加減遠くから飛んできているのに

羽田の端っこに降ろされる。

いいじゃないか。

自由席にしろ、嫌なら金を出せ。

ハッキリしてるじゃねぇか。

 

何とか自由席が確保できた。

今更、乗務員をよんで、事の顛末を話し

よしんば振り替えができたとしても

また長い車列を

歩いて移動しなければいけない。

もういいだろう。

検札に来たときに文句の一つでも

言ってやろう

(しかし、こんな時に限って検札は来ず)

そんなことを考えていると、

車内販売のお姉さんとワゴン車がやってきた。

珈琲でも飲んで落ち着くか。

と思い、珈琲を注文して思った。

「もう一回、回ってきますか?」

「いえ、もう来ません」

そうだ。車内販売は食べたい時が買い時ではない。

車内販売が来たときが買い時なんだ。

「弁当一つください。あっ、あとお茶もね」

東海道 新幹線弁当』

まぁ、期待はしていない。

どうせ、白飯の上だけ俵型になって

黒ごまが振られたアレだろう。

手が汚れる海老の煮たのが入って

あとは卵焼きと鮭か鱒が入ってるアレだ。

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しかし・・・

大きく期待を裏切った。

このおむすびの上は浅利か

ということは江戸?!

蛸は駿河湾か?

鰻が入ってやがる、浜名湖産か。

なんと、目で楽しみ口で味わうたびに

東海道の車窓の風景が頭の中を流れてゆく。

やるじゃねぇかJR東海

これはいい企画だ。練り込まれてやがる。

 

そんなことを考えながら

ふと窓際の足元に目がいった。

今や欠かせないコンセントがある。

元々、電車はあまり好きでない。

同じ自由席のお金を払って

座れる人と立つ人がいる不公平感が

馴染めないのである。

なら、指定席買えよ。と言われそうだけど

だから今回も指定席を買った。

今、見直したばかりのJRと

バーチャルで掛け合いをしてみた。

 

私:コンセントは窓際の人しか使えず

 不公平じゃないの?

J:お客様、窓際の方はトイレに行くのに

 二人の方に頭を下げ、戻るときにも2回、

 合計4回も頭を下げなければいけません。

 その点、お手洗いに気兼ねなく行ける通路側も

 メリットがございます。

 また、乗り物酔いも少ないと言われておりまして

 必ずしも窓側有利ではございません。

私:じゃあ、真ん中はどうなの?

 気も使わなきゃいけないし、

 何より肘掛けが使えないよね。

J:お客様、今は多様性の時代でして

 両脇に人がいて頂くことで安心感が増す

 いわゆるトナラーの方々には好評でございます。

 

・・・・わかったよ。オイラの負けだ。

https://lonewolf1964.hatenablog.com/entry/2021/01/29/184728

 

新幹線🚄弁当と

バーチャルJR掛け合いを楽しみながら

旅は続く。

結局、車内販売も再び現れた。

そうか、もうJR東海じゃあないのか

先程の販売員はそっちの人で

再び来た人はこっちの人か。

面倒くせえ!

 

帰宅は夜遅くなっても良いのだが

この日の夜は宴席が入っており

幹事から何度も確認の電話も頂いていたので

欠席するわけにはいかないのである。

もとより、その時間に合わせた復路の電車なのだ。

 

分厚い文庫本を持っていたが

本を読む気にはなれず

終始ウトウトしていた。

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3回の出場の中で

最もキツかった100kmウォーク

なぜ、こんなキツイことに

チャレンジするのか

旅行が楽しめたり

健康や健康ポイントの獲得も

もちろんある。

 

新幹線の車窓から見える風景が

街の風景から

田園風景に変わり始めた。

 

心の深層に刻まれた古傷が

時間の流れとともに

痛むことがある。

自分を追い込むことで

そんな痛みの解消や

魂の浄化を

しようとしているのかもしれない。

 

雨に煙る風景が流れてゆく

人の人生も流れてゆく

いつかは止まるときが来るだろうけど

それまでは流れに乗り

流されず

自らオールを漕いでゆくしかない。