『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

中山道・木曽路ウルトラウォーキング番外編⑤

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南木曽駅を8時48分発

中津川で9時07分乗り換え

中央本線快速名古屋行きだ。

不慣れな列車の旅に加え

乗り換えも多いことから

この日はいつもよりは慎重に

乗り換え表をポケットに入れて

ことあるごとにチェックを入れた。

 

が!しかし!

名古屋到着予定の10時34分が

近づいてきたのに

窓の外の風景がローカル過ぎる。

途端に焦り始め

現在地をナビ検索するが

こんな時に限ってうまく行かない。

一瞬ボォっとして、乗り過ごしたか?!

意を決して近くのおばさんに聞いた

「もう名古屋は過ぎましたか?」

「〇〇駅、〇〇駅、そして名古屋。大丈夫ですよ」

おばちゃん、ありがとう!

・・・でも、全然大丈夫じゃない。

もう10時34分目前だ

新幹線でも間に合わねぇ。

混乱する頭と当惑する気持ちを抑え

乗換案内で検索した。

やはり今乗っている電車で間に合うはずだ。

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しかし、名古屋を待たず

10時34分は過ぎ去った。

新幹線は10時47分発だ。

まだ、何とかなる。

しかし、どうなってやがる。

先程まで

牧歌的な速度で動いていたCPUが

高速回転でいま起きていることや

これからのことを処理し始めた。

JRに文句をいったところで

「弊社が提供しているサービス(時刻表)では

ありませんので」とか

「ホームページの注意事項30ページの2ページ目

10行目に書いてあることを

お読みいただけましたか?」

とか、言うだろうな。

しかし、情報ソースはそこだろう!!

西村京太郎が小説を書けねぇじゃないか!

いや、待てよ。

この時刻表との誤差が犯罪にはちょうどいいかも、

その日に現場にいないと分からない事実だ。

いや、今はそんなことはどうでもいいんだ。

そんなことを考えているうちに

「間もなく名古屋、名古屋」

ようやく車内アナウンスが流れた。

時間は10時45分。

しかも、電車は減速の上、減速をし

名古屋を目前に亀の速度でホームへ

突き進んでいく。

おばちゃんに会釈をすると

「お気をつけて」が

「頑張って」と聞こえ、闘志が湧いてきた。

電車のシートから立ち上がるのも

やっとなくらい筋肉痛だが、

中山道で鍛えた健脚を舐めんなよJR

目にものを見せてやる!!」

すでに時計盤の表示は

新幹線の出発時間を過ぎた。

一体どうなってるんだ

何をしてやがる。

ドアが開くなり

競走馬のごとく飛び出した。

「人生は重いリュックを背負って走るが如し」

第1コーナーのヘアピンの先は下り階段

ガラガラの階段横のエスカレーターに

列をなす人並みに

「そんなんじゃ、中山道は制覇できんぞ」

と一瞥をくれ第2コーナーを曲がると

「新幹線」の大きな文字が!

改札にいまポケットにある

切符全てをぶち込んでやる。

それで、ピコンピコン鳴ろうが

知ったこっちゃない。

悪いのはそっちだ。強行突破だ。腹をくくった。

幸い、ピコンピコンはなく

第3コーナーは上りエスカレーターの

推進力を活かし

足の筋肉痛も忘れるくらい

勢いよく駆け上がった。

 

頭上を見上げると目の前が明るくなり

ゴールが、いや

新幹線ホームが見えてきた。