私の記憶では午後8時位に青森駅に
到着したと思う。
もちろん宿など取っていない。
駅に行けば
何とかなるだろうと思ったのだ。
奇しくも翌日から青森は
ねぶた祭りが開催される事もあって
駅前の公園だったか緑地帯には
所狭しとテントが張られていた。
中には野宿らしい人達もいたので
コレ幸いと野宿を決めた。
歩道のようなところに
拾ってきたダンボールを敷き
寝袋と折り畳みの枕は持っていたので
寝床の準備は完了だ。
すぐに周囲の若者達と打ち解け
ビールで乾杯くらいしたかもしれない。
700km走った上に
荷物満載のバイクを押した疲れで
すぐに眠りにつけたが
蚊に襲われたことは覚えている。
蚊は山だけではなく
駅前にもいるんだと思った記憶がある。
北海道に渡る手前のトラブル続きで
少しナーバスになっていたかもしれない。
当時のバイト仲間が
ねぶた祭りに参加するために
青森出身の先輩の家に集合することは
知っていたし
「青森通るんだったら連絡しろよ」
とも言われていたので
翌日は少し青森に留まることにした。
ブーツを脱いで先輩の車に便乗し
青森の海などを観光・探索し楽しんだ。
そして日没になる頃
町はねぶた一色に染まった。
バイト仲間は貸衣装を借りて
にわかハネトへと変身した。
「お前もハネろよ。もう北海道はいいだろう」
と言われたが
東北の祭りのうねりとエネルギーを浴びて
決意新たに、楽しそうにハネる仲間に別れを告げ
ひとり室蘭行きのフェリー乗り場へ向かった。
夜の波止場で
ひとりバイクを止めて
出航を待つ時間が好きだ。
期待と不安が入り乱れ
神経が高ぶる。