『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

Hokkaido summer《2》

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本当に何も知らない若造に

トラブルが襲いかかった。

“ガス欠”だ!

SA,PAごとにガソリンスタンド

があると思っていたら

全てに設置されていないのに加えて

この日が日曜で休みのスタンドもあり

高速道路上でガス欠を起こしてしまった。

本来なら罰金ものだ。

もちろん携帯電話等無いし

非常電話も見当たらない。

沢山の荷物を積載し

十分な重さになったHONDA CBX 400Fを

押すハメになった。

全身から汗が吹き出す。

この日のうちに青森につけるかどうか

黃信号が灯った。

泣きたくなるのを我慢し押した

ひたすら押した。

どれくらい押したのかは覚えてないが

押してるバイクの前方に

1台のYAMAHA SR400が止まった。

栃木ナンバーだ。

ガソリンを分けてくれるという。

何てこった!何て素晴らしいことなんだ!

昔のバイクは単純で

タンクからキャブレターの間のチューブが

このSRの場合、

外にむき出しになっていたので

チューブを外しポリ袋で受けて

私のタンクへガソリンを

移すことができたのである。

ただし、彼の燃料も潤沢ではなかったので

ギリギリの量だけいれてもらい

これで非常電話があるところか

SAまで走ろうと言うことになったと思う。

JAFの伝票が残っていたので

恐らくJAFを呼んだのだろう。

ガソリンを入れ再び走り始めたが

前方の路側帯にバイクを押す人を発見。

もしや!

と思い彼の前方に止まる。

やはり栃木ナンバーのYAMAHA SRだ!!

「ごめんなさい!ごめんなさい!

僕に分けてくれたために・・・」

彼は笑顔で

「この数キロ先にSAがあるから大丈夫」

と言ってくれた。

残念ながら私のCBXの構造上

先程のようにガソリンを移すことはできない。

「僕も一緒に押します」

と言って再びバイクを押したものの

もう体力が限界を迎えていた。

またもや笑顔で

「いいよ。いいよ。一緒に押しても

意味がないから先行っていいよ」

と言ってくれた。

何て素敵な人なんだ。

SAで再開しガソリンを入れることを約束し

彼を後にした。

1時間ほどだったか

バイクを押しながら彼がSAへ入ってきた。

バイク乗りに悪いやつはいねぇ

どころか

素敵過ぎるじゃないか。

丁重に丁重にお礼を言って

再び東北自動車道を北上するのであった。