冷えた体を温めようと
蕎麦を食べることにした。
「お一人様ぁ、今日は相席で
お願いします!」
なるほど、
3連休のしかも体育の日にかける
観光・飲食店の意気込みは理解ができるし
お一人様が歓迎されないのも
承知済みだ。
しばらくして、
「お二人様ぁ、テーブルでも
お座敷でもお好きな方へ」
おいおい、それはないんじゃねぇの
そもそも昼時とはいえ
私が入店したときも空席はいくつかあった。
連休にかける意気込みはどうしたんだ。
なんなら、
その年配二人連れ(こちらも年配だが)を
上回るくらい食ってやるぜ!姉さんよ。
と、狼心が牙を向いたが
我に返ると小心な羊心で
いかん、いかん早く出てあげなきゃ
と、ゆっくりするでもなく
蕎麦を駆け込み、
相席の先客の夫婦より早く
店を後にするのであった。
そう言えば
昨年の紅葉シーズンにもこのエリアを訪れ
バイクを駐車場の片隅に停めようとしたら
店員が飛び出してきて
「そこは観光バスの場所だから!
お宅さん、うちで食事?!」
食事だから停めたんだよ!!
どうにも後味が悪い。
団体さんしか視界に入らず
すぐにそろばんを弾くのは
この地の県民性なのか。
気まぐれな女心のように
先程とは打って変わって
川面に光が刺してきた。
いつも満杯のパーキングだが
今日は連休なのにガラガラだ。
世間様は
来るべき全国旅行支援待ちなのかな。
珈琲を飲みながら
行き交う人々を眺め
想像を巡らせる。
復路は天気も回復し
秋晴れの下を快走
蕎麦屋の思惑に反して
秋の山路は
静けさが漂っていた。