秋晴れのような
しかし、山には灰色の雲が垂れた
微妙な天気。
渓谷を目指してBreakoutを走らせたが
シールドに一つまた一つと
雨粒が付き始めたところで
行先を変更した。
女心と秋の空とは
よく言ったものだ。
山越えに備え給油をした時には
皮ジャン越しに差し込む陽射しが
痛いほどだったが
少しバイクを走らせると
空は一変し、
アスファルトの上で枯れ葉が舞う。
時折、山間から風が吹き下ろし
沿道の薄が激しく揺れる。
季節の移ろいを感じながら
グリップヒーターのスイッチを入れる。
見渡す世界の何もかもが
寂しさを纏う。
また一つ歳を重ねる自分の人生と
シンクロしてしまう。
過去を振り返れば悔やむことや
悲しい出来事
未来を巡らせれば不安や
耐えない心配事・・・
50年以上世話になった歯とも
お別れをした。
しかし、いずれも
どうすることもできないのである。
覆水は盆に帰らず、
無くした歯は生えてこず、
極東の狂った奴らが何か仕出かしたら
未来はないかもしれない。
生きてる意味を考えてる時間があれば
今を精一杯生きるしかない。
苦しいことも楽しいことも
ひっくるめて
この瞬間に魂を燃やさなきゃ
その為には3連休は大事だ。
一日は家の用事もあるだろう。
一日は思いっきり好きなことをして過ごす。
一日は身体を休め心身のバランスを保つ。
ヘルメット越しに移ろう秋の空を眺めながら
感傷に浸るまもなく
しっかりと3連休の大切さへ
着地したのである。