先程対応してくれた男性スタッフから
女性スタッフに変わっていた。
「先程も尋ねたのですが、これくらいの
カメラは上がっていませんか？」
「少々お待ち下さい」
そして、なんと私のカメラを手にして
バックヤードから出てきたのである。
頭の整理が追いつかない。
「どこにあったのですか？」
「脱衣場です」
「先程の男性、教えてもないのに
カメラの色をグレーって言いましたよね」
「なぜ、さっき尋ねた時には
教えてくれなかったのですか？」
「浴場へのカメラの持ち込みは禁止をさせて
頂いております」
この時の物言いは、申し訳なさそうではなく
自分達の正義を明らかに主張するように
勝ち誇ったかのような物言いだ。
体中の血液が
金ちゃんの仮装大賞の電動得点板のように
一気に跳ね上がる気がした。
『浴場へのカメラの持ち込みは禁止だと！』
そんなこと知らねぇよ！！
どこに書いてんだよ！！見せてみろよ！！
とは、言わなかった。
しかも、持ち込んだのではなく
偶然ポケットに入ってたんだよ。
交通違反で捕まり、
「標識が見えなかった」とのたまった所で
通用しない、アレと同じだ。
どっかには書いてあるんだろう。
と瞬時に判断したからだ。
兎にも角にも
探していたカメラが見つかったことの安堵が
怒りの気持ちに勝ち
一旦はフロントを後にした。
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