とうとう北海道最後の夜がやって来た
この日は贅沢して
カプセルホテルを押さえた。
渋谷のバイト先である居酒屋の
北海道1号店を訪ねた。
開放感、達成感、満足感
少しの寂しさ・・
色んな思いが交錯する。
レシートを見ると
瓶ビール3本
生ビール2杯
アップルサワー1杯
を飲んでいる。
カプセルホテルで倒れ込み
泥のように眠った気がする。
帰路は海路に決めた。
苫小牧発東京行きだ。
もちろん!!
ドラマは終わってはいない。
手持ちが尽きかけていた。
確か24時間位かかったと思うが
帰りの東京の港から
アパートのある横浜迄の
ガソリン代を計算すると
使える金がほぼ無いのである。
何しろ船の中の食べ物は高すぎて
何も買えないのである。
試練だ!最後まで試練だ!
腹減った!腹減った!
しかし!光明を見出した。
売店に売っていた
北海道バターカステラが
(普通のカステラの半分サイズ)
500円か800円くらいだったので
それを買って食いつないだ。
それで手持ちは尽きた。
金もない携帯もない
腹も減る
海の上
時間との戦いである。
バイク乗りと仲間になったが
少し変わり気味の人だった
でも退屈よりは良かったのだと思う。
ようやく富士山も見えてきた。
無計画に近い形で北海道に渡り
曲がりなりにも
ほぼ一周制覇した。
ガソリン入れて
アクセル回せば
勝手に運んでいってくれるから
偉そうなことは言えないが
感慨深いものはあった。
1985年・夏
旅の終わりはいつも
夕陽と共に