羊はその名の通り
フワフワで尖ったものがない。
また研ぎ澄まされたナイフのような
危なさもない。
加えて極端に痛がり、怖がりである。
だから
狼のように
孤高で危険な香りに憧れるのである。
そんな羊が憧れの
ハードボイルドの巨匠にお会いした。
その著書から感じるイメージは
葉巻きが似合い
ウィスキーは多分ストレート
車はきっとマセラッティで
たまにハーレーも転がす。
低い重しの効いた声で
浮ついた若造共を恫喝する
海の香りのする男。
あくまでも私の勝手なイメージだが。
男が男らしくあるための
手本のようなレジェンドである。
羊はタバコこそ吸わないが
ショットグラスで
洋酒のストレートを呷ったりする。
自分の結婚式は黒のタキシード
またハーレーを転がしたり
一人で旅したり
血の滴るTボーンステーキを食ったり
体力の限界に挑んだり
無い物ねだりで
毒気のある男らしい生き方に憧れたりする。
しかしこれらは
あくまでも外面上のことである。
そして巨匠に会う前夜
都内のクリエータで
同年代の仕事仲間と酒を飲んだ。