『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

5回中山道・木曽路ウルトラウォーキング<陸>

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季節外れの蛍ではない。

私の前方を歩くウォーカーの

ヘッドライトの光と

バックライトの赤い光である。

まだ、こうやって

前後に人がいるときは励みになるが

意外と前を見ても、後ろを見ても

一人の時が多い。

確かに

一人で参加している女性は

できるだけ周りの人と歩いてください。

なんて、スタート時の注意説明で

言っていたな。

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私のヘッドライトが照らす

明かりの先は

悠久の時を経ても変わらない

中山道があるだけだ。

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<第3エイド>
細久手公民館
50km
17 :30~24:00(到着予想時間)

21:30到着だから

ペースとしては悪くない。

感覚的にはちょうど真ん中辺り

私の後ろに100人近くはいるはず。

しかし、いろんなことが

限界点に達しようとしていた。

休憩込みで1kmを14分くらいか。

夕食のカップラーメンを頂き

事前に予定していたことも後押しし

床に倒れ込んだ。

ウォーカー達のざわめき、笑い声を

遠くに聞くような感覚で

深くも浅い眠りから

静けさに気が付き目が覚めた。

あたりを見ると、何人かは寝ている。

時計盤を見ると23時を過ぎている。

ちょいと寝すぎたかな。

スタッフに矢継ぎ早に聞いてみた。

「(制限)時間大丈夫ですか?

後ろに何人いますか?」

「時間は大丈夫ですよ。次のエイドまで20kmだし

すぐ着きますよ。えーと、

道に迷ったって方が一人だけ後ろにいるかな」

な、な、なんですとー!!

いかん!!寝過ぎてしまった。

周りで寝ている人たちは

リタイヤ組だった。

ワセリンを足に塗り込み

新しい靴下に変えて

ダウンを羽織って

漆黒の闇の中に飛び出した。

やはり、疲労が溜まっていたのか

仮眠のお陰で

どこも痛くないし、足も軽い

これなら行けそうだ。

毎度思うが、休憩は本当に大切だ。

 

さすがに深夜になり

吐く息は白くなってきたが

それほど長く歩かないうちに

またもや首筋に汗が滲んできた。

もうタイムロスはできない。

歩きながらダウンを脱いだ。

これが失敗だった。

漆黒の闇に感覚が慣れるまでと思い

ヘッドフォンを首にかけたままだった。

ダウンの着替えで

愛用のヘッドフォンが

真夜中の中山道に消え去ったのを

後から気がついたのであった。