秋の木曽路
なんて悠長なことを言っているのは
旅行雑誌くらいか。
秋の木曽路を楽しむ余裕は
ほぼ壊滅した。
出発時や出発直後のウォーキング中に
割りと年配の爺さん達に話しかけられた。
歳を取ってこんな大会に出るお年寄りは
快活で人懐っこい。
なんて、考えながら歩いていたが。
ん?いや、待てよ。
もしかしてだけど
仲間(歳が近い)意識で声かけてきたかも
もしかしてだけど。
歯も抜けたし
そうか。。
向こうから見たら、こっちも爺さんなのか。
メンタルが落ちてくると
思考がネガティブになっていく。
それにしても、その爺さんたちは
喋りもさることながら
歩きもなかなか達者だ。
またたく間に遠ざかっていく。
きっと日々鍛錬をしているんだろうな。
間違いなく常連の方々だろう。
秋の木曽路に
宵闇が迫ってくる。
熱中症の心配は無くなったが
相変わらず汗は引かない。
脱水症は避けなければいけないが
スポーツドリンクの塩分と糖分で
胃がムカムカする。
日没と共に気持ちも沈む。
見渡す限り“坂”
前を見ても振り返っても“坂”
“坂”を上った先も
また“坂”
下ってもすぐに“坂”
足は悲鳴を上げている。
頭の中に
“リタイヤ”という言葉が
浮かび始めた。