遥か彼方の空の下
白い雪を冠った山の頂を横目に
ドコドコと
海を目指す。
海鮮食堂のご主人は
どうにも同じ時代を生きてきた匂いがする。
案の定、駐車場に停めたBreakoutを
食い入るように、
そしてぐるりと回りながら
ガン見した挙げ句に
「何CCですか?」
そう
昭和の男はまずは排気量だ。
聞けばオーストラリアのKTMに
乗ってるらしい。
やるな。お主。
会計時も気になってる様子で
「これから、どちらへ?」
返す私も
いたずらっぽく笑いながら
「こんな最高のコンディションの
今日走らなくていつ走る?!
これから海岸線をずっと走ります」
と、休日に仕事をしている彼には
ホントに酷なひと言である。
「いいですねぇ。。」
一言二言しか交わさなかったが
人柄の良さがにじみ出ていた。
いいライダーだ。
お腹もふくれ走り始めると
正午を回ったせいか
気温も上がり、暑くなったので
全ての電熱ヒーターのスイッチを
オフにした。
冬と春が交差し
季節が移ろってゆく
春の訪れが楽しみだ。
海岸線をゆったりと
ドコドコと流す。
この日は海もキラキラと輝き
一際綺麗だ。
さてと
海を臨むカフェで
coffeebreakとするか
感染予防のために開けただろう窓から
何とも爽やかな風が入ってきて
ブラインドの紐がゆらゆらと揺れる。
海を渡ってきた風は
紛れもなく春の風だ。
贅沢な時間が過ぎてゆく。