町のいたる所に
神々の里・高千穂がある。
さて、話を“あおり”に戻そう。
否が応でも
二人をウォッチングしてしまう。
シャープな顎のシルエットの
マダムは
私のハーレーに例えると
暖気なしでいきなりの2000回転
余裕のクルージング！
と言った咀嚼スピードだ。
顎が一定のリズムで
しかも鼓動は
トトーン、トトーン
ではなく
トンットンットンッと
小気味よく動いている。
一方、目の前の旦那は
どうにも服従ムードが漂い
奥様のポジティブオーラに比べ
弱々しくネガティブ感
満載だ。
オーっと？！
マダム
かけ込みかぁ！
和食だから器を持つのは
良しとしても
そのスマートな成り立ちには
似合わないぜマダム。
こちとら、そうはいっても
戦うビジネスマンだ。
ビジネスホテルの朝の戦場は
熟知済みだ。
和食だろうが洋食だろうが
スプーンは必須だ。
特にサラダコーナーのコーンや
トロットロッのスクランブルエッグ等
箸で取ろうものなら
日が暮れちまう。
コーンはポテトサラダに埋め込みながら
掴むという技もあるが
これは、そこそこの熟練が必要だ。
いや、そんなことはどうだっていい
きっと、やっと取れた
サマーバケーション。
今日はマダムの立てたプランは
秒刻みなのかもしれない。
旦那がバッハでなくて
本当に良かった。
秒刻みのオリンピックで
長たらしい挨拶なんぞ
しようものなら
今頃は日本から
出国できていないだろ。
いや！待てよ、おい！
旦那が席を立ちやがった
お替りなんぞするんじゃない！
バカ野郎！
ん？そこは、確か…
フルーツコーナーだ。
旦那は席に戻るやいなや
マダムに検閲をお願いしたのか
フルーツが入ってると思しき
器を見たマダムは
大きくうなずいていた。
そう言えば、
マダムの皿数に比べて
旦那の皿数はかなり少ない。
・・・そうか
マダムは急いではいても
キッチリ食事を取らないと
気がすまないタイプと見た。
旦那はそれを支える
そう、まさに執事だ！！
そんな推測をしている間に
また、旦那が席を立った！
思った通りだ。
珈琲コーナで珈琲を注ぎ
いそいそと席に戻った。
最初に席についてから
これまで
もちろん
会話は一切ない。
さらに、そんなにまで急いで、
食べることに集中してるかと
思いきや
たまにマダムは
会場にも目を配らせ
危なく凝視している私と
何度か目が合いそうになった。
壮絶な食事タイムが終わった。
いきなり、二人で
スマホオープン！！
なんだ？！
もしかして、
相当、意識高い系の夫婦で
コロナ感染予防のため
スマホで会話か？！
いや、マダムのことだ
朝、旦那が顔を洗ってるときに
「食事が済み次第、私は
ランチの予約の確認をするから
あなたは今日のルートを
今一度確認するのよ」
と、的確な指示を
出していたに違いない。
きっと、そうだ。
テーマパークで
ネズミの耳をカチューシャのように
頭に載っけて
ある意味、子供以上に
張り切って段取りをする
奥様を目にする事がある。
近いものがあるが
同じレベルで論じるなど
言語道断である。
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