『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

羊の実験その四「根性だけではどうにもならない 」の巻

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10年程前に

初めてフルマラソンに出場した。

それまでの10年以上は

運動らしい運動はしたこともなく

ワンフロアでも階段を使わず

エレベーターを使ってたくらいの

だらけた身体だった。

 

色んな思いを背負って

走ることになったが

きっかけは会社の節目だった。

ちょうど経営の苦しい頃で

セレモニーどころか、

社員が自腹で食事会など

屈辱的な年だった。

私はそれが不満だった。

お金はなくても

思いはないのか?!

例えば

社員を奮い立たせる言葉の力や

労いの言葉。

他にも考えればアイデアはたくさんある。

ようは、その気持ちがあるかどうかだ。

 

私は思った。

「よーし、なまった身体の俺が

 フルマラソンを完走して

 どっちが本当に思いがあるかどうか

 実験してやろうじゃねぇか」

これが、きっかけだった。

 

練習期間は5ヶ月。

何をしていいか分からなくて、

ネット検索をしてみた。

いい言葉に出会った。

「あなたは、毎日続けようと思うから

 続かないのです。あなたにも仕事や

 お付き合いもあるでしょう。

 週に3日だけ頑張りましょう。

 それなら、あなたにもできるでしょう。」

 

神の言葉だと思った。

この言葉を守ったのと、

靴だけは専用の靴を買った。

2ヶ月は1日4km位をひたすら歩いた。

残りの3ヶ月は5~6kmを

ジョギング程度で走った。

さすがに大会本番3日前に

10km位は走っておこうと思って

走ったところ、足を痛めてしまい

歩くことすら困難な状態に陥ったが

神の手を持つ接骨院

「先生。とにかく出場だけはしたいんです」

と、大会2日前に懇願し

見事に出場は果たすことができた。

 

現実は甘いものではなかった。

断続的に両足がつり始め

体力も想像以上に消耗してきた。

後から分かったことだが

低体温症にもなりかけていた。

 

とにかく眠くて、寒い。

「眠い。今すぐに、ここで横に倒れて寝たい」

「寒い。そのウインドブレーカーを売ってくれ。

 1万ですぐに売ってくれ」

「眠い!寒い!」

精神が錯乱する。

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足も動かない。

靴擦れとか、豆ができたとか。

それは、まだ歯を食い縛って

我慢ができるかもしれないが、

足が動かないのである。

 

地方では初のフルマラソン大会の運営とあって

AIDSTATIONにはド素人集団がもらえる水も食料も

残っていない。

熱中症予防のタブレットをわしづかみにして

体に悪いかどうかはもうどうでもよくて

一気に口に放り込み、バリバリと噛み砕いた。

 

全てが限界点に達していた。

「こんなもんじゃねぇ。

 俺が今まで耐えてきた苦しみや悲しみは

 こんなもんじゃねぇ。

 こんなもん、

 たった42.195km走れば過ぎ去ってしまうほど

 あっけないものじゃねぇか」

 

 しかし・・・

身体は動いてくれない。

 

半沢直樹の大和田常務の土下座シーンのように

最後の、渾身の、

力を振り絞った。歯がギリギリ鳴るくらい。

 

制限時間数分前にゴールした。

実験は私の勝ちだった。

全ては昭和の「水を飲まない運動」の鍛錬だと

勝手に思っている。

 

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