『羊と狼』カウントダウンサラリーマンのエレジー

羊サラリーマンの日常、及び回顧録

羊の実験その壱「お受験か誕生会か」の巻


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羊の実験好きは

「羊サラリーマンのゴルフ道その③」でも

語った通りである。

https://lonewolf1964.hatenablog.com/entry/2020/07/07/091854

 

あれは小学校6年生の時の出来事だ。

 

当時、すでに私は

厳しい両親の敷いたレールに

しっかりとのっかり

私立中学お受験を目指して

日夜、勉学に勤しんでいた。

 

ある日のこと、親友だった犬君に

「今度、誕生日パーティーやるから

 是非、うちにおいでよ」

と、お誘いを受けた。

「うん。わかった。お母さんに聞いてみるね」

と答え、早速帰宅後、

母に了解を求めたところ

「絶対にダメです!今が一番大事な時なのに

 なんてこと言うのあなたは!」

と、大目玉を喰らってしまった。

 

従順な羊君は

渋々と翌日、親友の犬君に

「ごめん。残念だけどダメだって。」

と半べそで伝えた。

 

「何でダメなの?

 受験ってそんなに大事なのか?!」

「君の大好きなエビフライも母親に言って

 たくさん構える予定なんだよ。

 僕のお母さんから君のお母さんに

 頼んでもらおうか?!」

 

若くして亡くなった親友は

私以上に悔しがってくれた。

ダメ元で、その日家に帰ってから

最後の抵抗をしてみた。

「帰ってきてから、その分遅くまで

 勉強するから行かして」

「ダメです!何度言ってもダメ!」

 

今は

その頃の両親よりも年がいき

両親の思いは

充分に理解ができるのだが……

 

その瞬間

子羊の中の実験の狼が吠えた!

 

「そうか……俺がこんなに頼んでるのに

 ダメなのか。この数時間勉強しないと

 本当に受験に失敗するのか……」

「ようし、上等だ。

 実験してやろうじゃねぇか!

 俺の言ってることが正しいのか、

 母親の言ってることが正しいのか!」

 

親友の誕生日の日がやってきた。

学校から帰った私は

細やかな抵抗として、

母親とは口を聞かずに

勉強態勢に入った。

 

おもむろに「力の5000題」を開き

その下に隠すように

漫画コミックを仕込み

誕生パーティーが終わるだろう時間まで

「力の5000題」を読みふけった。

いや、正しくはその下にある

漫画コミックを読みふけった。

 

誕生パーティーが終わる頃どころか

実験に厚みを出すため

その日は寝るまでの間の全てを

漫画コミックに投じた。

 

時は流れて、春

桜が咲き

無事に実験は成功した。

 

合格の喜びもさながら

実験の成功に

ほくそ笑んだものだった。

 

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